日本企業のROEはなぜ低いのか Why Japanese ROE is low?

歴史・文化的側面から読み取れる理由を考えてみた。

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以下は2015年1月に書いた記事を一部読みやすく修正の上転載するものです。

日経新聞の一面に、「日本(の大)企業が海外投資家からの要望に応えてROE改善に動き出した」といった内容の記事が載っていたので、少し考えてみた。 

Returnの観点
 ・売上の成長ペースが遅い?
 ・利益率が低い?
Equityの観点
 ・事業リスクに比して過大なEquityを蓄えている?

つまり、リスクを取って成長することよりも、現状を長きに亘って維持することを優先していると解釈できる。 

それはなぜか?
以下2つの文化的側面が関係していると考えられるのではないだろうか。

1.「お金を稼ぐ」=「卑しい」
江戸時代にも士農工商という制度があった通り、この国では古くから金儲けは卑しいものとされてきたし、反対にモノづくりは尊いものとされてきた。(住友財閥内の企業において商事が最も後発であるのはこのことに起因する。)
これが、金儲け・虚業のイメージが強い金融・IT等の産業は十分に発達していない理由の一つであると考えられる。

他方、戦後から驚異的な経済発展を遂げた日本国民の所得・経済水準は上昇していわゆる先進国になり、低賃金を武器にした製造業が限界に達する一方、アジアを中心に製造業の次を担う国々が出てきた。
欧米諸国もかつては同様の道を辿り(むしろ日本の製造業に負ける形で)、製造業を中心とする労働集約型産業からカネ・アイディア・情報を中心とする金融やIT等の資本・知識集約型産業へ移行していったのだが、前述の通りこれらの産業が発達しなかった日本ではこれができず、代わりに福祉・飲食等のサービス業が人材の受け皿になったとの話を聞いたことがある。 

少し話が逸れたが、上述の概念をベースに、お金を稼ぐ・成長することよりも長く続く雇用関係・取引関係を維持することを以ってWin-winの追求・社会貢献とする会社が多くある気がする。
それはそれで大事なポリシーだとは思うが、それを盾にお金を稼げないことを正当化するのもちょっと違うと思う。 

2.失敗は許されない。
これも武士の時代の文化だろうか。この国には、「命を賭す」「負けたら潔く退く」が美学とされる傾向はいまでも少なからず根ずいていると思う。起業するときの経営者による借入連帯保証など。
また、容疑者=被告という認識や、クラブでバイト=非清純といったように、イメージが先行しがちな反面、成功者には一点の曇りもない完璧を求める。

従って、リスク(=リターン)をとって勝つことよりも、リターン(=リスク)を逃してでも負けないことを優先しがちな傾向に思える。

ということで、どうやら日本企業のROEが低いのは、ROEを上げられないのではなく、上げない文化・信条もあるよう。
せっかく信念を持つからには、意志を持って低ROEとしている企業にはマスコミの煽りに負けず頑張ってほしい。

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